白鷺の剣~ハクロノツルギ~
「負けないわ、私。白鷺をその生き霊から守ってみせる。弥一さん、あなたの事だって助けるわ。あなたは悔いていると言ったし、もう亡くなってる。私……あなたはもう許されていいと思うんです」

姿は見えないけれど、弥一さんは泣いているようだった。

「柚菜……感謝する……」

そうだ。

弥一さんは生き霊が誰だか知っているのだろうか。

「弥一さん……生き霊が誰か知ってますか?」

「俺には分からない」

私の問いに弥一さんが吐息を漏らした。

「生き霊は凄まじい力で俺達を白鷺一翔に封じている。だが生きている人間だけあって、四六時中刀に宿っているわけではないんだ。一つ言えることは……」

「……なんですか」

弥一さんは震えるような低い声で応えた。

「西山白鷺は……生き霊の正体を知っている筈だ」

背中に氷を押し当てられたようにヒヤリとし、私はビクンと身を反らした。

「……白鷺が……?」

「ああ。恐らく」

そんな……。

白鷺はその正体を知ってて何もしないの?

どうして?!

私はそれがショックで、隣で眠っている白鷺を呆然と見つめるしかなかった。
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