そこにいた










どうして亡くなってしまったんだろう……。病気?事故?




何にしても、扉から出てきた先生の格好から、手術して助からなかったってことは事実みたい。




あの夫婦は亡くなった人の……親?




泣き崩れていた。





今も泣いているのだろうか…。





私の推測どおり、泣いていた人が亡くなった人の親だとしたら……子供が親よりも先に死んでしまうなんて、どんなに辛いことだろうか。




部屋に戻ってきてから、あの光景が頭から離れない……。





まだ若いって言ってた。






確かに、あの夫婦の子供なら、私より少し大きいくらい。





いつかこんな日が、自分にも起きるのかもしれない。






怖いよ……。





死ぬのも怖いし、私が先に死んでお母さんが一人残されてしまうと思うと……。





ああやって、泣いたときに誰もそばにいてくれない。





死にたくない気持ちよりも、お母さんを残していくと思うと、もっと怖い。




まだ起きないことなのに、いつかの自分とお母さんの姿を見ているよう…。

















気づくと頬に涙が伝っていた。

< 12 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop