そこにいた

目を開けるとその天井は今までに何度も見てきた天井だった。






はぁ、また来ちゃった・・・・・・。






ただの風邪で入院なのかな。






あれからきっと、寝てる間に検査されたんだろうな。






はぁ、受験どうなっちゃうんだろ。






シャッ!







とカーテンが開いたと思うと入って来たのは亮先生だった。






「目、覚めたんだね。」






未だに怠くて言葉が出ない。






「はぁ、何で逃げるの。」






そういいながら椅子に座る亮先生。






「・・・・・。」






「僕にも言えない?」






残念そうな顔の亮先生。






だって、先生がお医者さんだから。






先生にとっては、受験よりも治療だもんね。






「まぁいいや。






血液検査とレントゲン撮ったんだけどね、風邪が悪化したのか、肺炎になってるよ。」






えっ?






「本当は、息を吸うときも胸が痛いんでしょ?」






「・・・・・・。」







「それも言えない?





どうして最初から言ってくれなかったの?」







「・・・・・・。」






言ったら帰らせてくれないでしょ? 






「分かったよ。






今は治すことが一番だから、大人しくしてるんだよ。」






そういうと亮先生は怒っているのか、カーテンを強く閉めて出て行った。






何でよ・・・・・・。






何で私ばっかりこんな想いしなきゃならないの?






大切な時にはいつもこう。






堪えていた涙が溢れ出てきた。






「ケホッゲホッ!!!」






咳の度に胸が痛い。
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