そこにいた
「苦しかったね。」
ようやく呼吸が落ち着いた。
あと一時間は、マスクをつけているように言われた。
聴診を始めた亮先生は、私の表情を見ながら話してくる。
私は、亮先生の顔を見ることができなくて、亮先生の胸辺りを見るめる。
「もう大丈夫だよ。
今までにこんなことはあった?」
私は一言でもしゃべるものなら、再び呼吸が乱れるんじゃないか、不安になって首を左右に振った。
「呼吸が苦しくなっただけ?」
「・・・・い、いえ。
その前に胸が締め付けられるように苦しくって。」
「それは今までにもあった?」
再び私は顔を左右に振った。