かわいいあなたにマフラーを
「きっと彼女なら、にこって笑ってさ、いいよって言ってるくれるんじゃないかな?」

俺は緑木のその言葉に、ちょっと乗ってみようか、と思ってしまった。
そうだ、優しい彼女なら、もしかして快く受けてくれるかも知れない。

教室に戻ると、さっきまで話題の中心にいた彼女が一人、席についていた。

机には毛糸、手には編み棒。
どうやら編み物をしているらしい。

「静谷さん、何を作ってるの?」

「……っあ、緑木君。
会議、終わったの?」

手先をぼうっと見つめていた静谷は、編み物の道具を机に乗せて、お疲れ様、と声をかけながら顔をあげた。

いいな、緑木。
気軽に話しかけることが出来て。
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