かわいいあなたにマフラーを
「笹野、彼女がいないと淋しいねぇ」

昼休み、俺の前で弁当を食べ終わってだらりと机に腕を投げ出す緑木が、突然そんなことを言い出した。

「いやまぁ。
風邪なんだから、仕方ないよな……」

俺は昨日のことを誰にも言えずにいる。

「いや、笹野じゃなくてさ、俺。
笹野はさ、静谷さんの風邪が治れば会えるじゃん。
どうせクリスマスも一緒に過ごすんだろ?
羨ましいわぁ。

俺ね、クリスマス一人だわ」

「は? 緑木だって彼女いるだろ?
一年生の、なんて名前だっけ……?」

部活や会議がない日、よく一緒に歩いているのを見かけた。
それに、付き合ってまだそんなに経ってないはずだ。
< 45 / 99 >

この作品をシェア

pagetop