かわいいあなたにマフラーを
「りさちゃん凄い! 綺麗な飾り付けだねっ! お疲れ様!」

「うん、良いと思う」

井口と俺が口々に褒めると、野上は照れたように笑った。

「飾り付けとか、好きなんです。
任せて頂いて、ありがとうございました」

うんうん、と頷きながら、久しぶりに井口と違和感なく話したな、と思う。

ふと視線に気がついてツリーから視線を外してそちらを見ると、そこには悲しそうにこちらを見つめる静谷が、いた。

「あっ……」

俺と目が合った途端、静谷は走って行ってしまった。
慌てて追いかけて、どうにか正面玄関をくぐった先の、靴箱前で捕まえた。
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