かわいいあなたにマフラーを
「お前、誰?」

誰が来るのか玄関の方を見つめていると、上着の端を引っ張られた。
そこにいたのは小さな男の子。
随分下から、俺を見上げている。

あ、もしかして今日の主役?

「律君?」

「おー!」

元気に手を挙げる彼は、少し生意気そうだけど可愛い少年だった。

「俺の名前、知ってるの?!
お前、誰?!」

「俺は、笹野真冬だ。
よろしくな」

しゃがんで目線を合わせて挨拶をすると、ふふふ、と律君は笑った。

「まふゆ! 初めて聞いた名前!
今が旬だ、旬!」

何がツボに入ったのかわからないが、真冬、今が冬、ってことで、旬、となったらしい。
面白くなったらしい律君は、転がって大笑いだ。

俺も、確かにあまり聞かない名前かなって思うけど、そんなに笑わなくても……。
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