かわいいあなたにマフラーを
「ありがとう。

あ、あとごめんね……?
わたしのせいで、彼女と喧嘩したって、聞いた。

あの時わたし、どうかしてた。
彼女いるの知ってたのに、あんな告白なかったよね?

本当、ごめん……」

井口が心から謝ってくれているのが、その表情から分かる。

笑って

「もう、いいよ」

と言うと、井口はありがとう、と小さく頭を下げて走り去っていった。


冬は日が暮れるのが早い。
イベント中の6時限目の途中で薄暗くなり、ツリーのイルミネーションが点灯された。
生徒達から歓声が上がる。

キラキラと輝くツリーに、皆、顔が綻んでいる。
飾りつけを買って出た野上は、その様子を嬉しそうに眺めていた。
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