♀乙女座と吸血奇術師♂~ヴァルゴトマジカルヴァンパイア~③
「えっ、何かしら、言いにくい事って?」

「あの~、その、お手つき。

正しい札は、『よしののさとに ふれるしらゆき』だけれども、君の取った札は『あらはれわたる せせのあしろき』。

もう一つのあさぼらけの方なのさ」

「ええ~っ、あさぼらけって、二種類あったかしら!?

そ、それじゃあ今のは…」

「本来なら、何らかのペナルティーだけれど、まあ、美加ちゃん相手だから、今回はノーカウントで良いよね、美加ちゃん?」

「そ、そうね。じゃあ今、松永さんが取った札は回収させてもらって仕切り直ししましょう(^_^;)」

「あ、ああ…(To)ノ」

そして試合は続行されたが、結局二人の勝負は美加の完封勝ちに終わった。

「ありがとうございましたm(_ _)m」

「あ、ありがとうございましたm(_ _;)m」




「い、いや~でも強過ぎなんだけれど、月山さん。

私、絶対今度の大会はぶっちぎりで月山さんの優勝だと思うけれど」

春子はそう言って、美加をほめちぎった。

美加は少し照れくさそうな顔をしながら、そうでもないとでも言いたげに首を横にふった。

丸顔にツインテールの髪をふりふりさせながら謙遜する様子が愛らしい。

美加のそんな様子が、見ている者をほっこりとさせてくれる。

その様子を見守っていた亮は、クスッと笑いながら、美加に話しかけた。

「でも、今度の大会に出てくる相手も、随分手強いから、この後も練習だよ。

今日も、僕が練習に付き合うよ。

一緒に頑張ろう!」

「うん、亮君、お願いね」




「…ああ、また。初めと比べると、疲れが出始めた中盤ぐらいから君は、前屈みになりすぎる癖がある。

長丁場になると辛いだろうが、もっともっと姿勢を意識して」

「分かったわ。こうね?」

「そうそう。その姿勢を意識しながら…」




「まるで、コーチと教え子みたいな二人だね、ハルちゃん」

「そうですね。まるで…」
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