Pathological love
電子音が鳴り響き、段々と意識が浮上して薄く瞼が開く。
何度も繰り返し見る夢に少し憂鬱になり、もう一度瞳を閉じる。
(そろそろ起きなきゃ………。)
気怠く重い体を起こすと、鈍い頭痛が襲った。
「痛っーーー………何これ?」
ふと手元を見ると見慣れないブランケットを握っている。
「えっ?」
咄嗟に辺りを見回す。
見慣れないのはブランケットだけじゃなかった。
ブラウン系で纏められたお洒落な寝室。
明らかに男物の私物。
急にドンッと心臓が胸を叩いた。
(ここ………どこ?)
ドッドッドッドッ………
そろりとベットを抜け出すと、なるべく音を立てずに部屋を出る。
見慣れた廊下にデジャヴを覚えて、歩みを進めるとやはりその先にはリビングがあった。
(やっぱりここ、私の部屋と同じ間取り………嘘?どうなってるの?)
雑然とした部屋には段ボールや本が積み重なっていて、その真ん中にキャメルのレザーソファーがドンと置いてあった。
よく見ると自分のバックが置いてある。
「私のバック………」
急いで駆け寄り中身を確認する。
「よかった、資料は入ってる………USBも…………ー」
バックの中身を確認した事で、うっすら昨日の記憶が蘇ってきた。
「そう言えば私…昨日、チャラ男二人に変なドリンク飲まされて…………もしかして、あの二人のどっちかの家?!嘘っ!!」
点けっぱなしのテレビと空調の音、見回しても人気はない。
鼓動だけが自分の中でどくどくと響いている。
不意に何かの音が止んだ。
(シャワーだ………誰か居る!!)