Pathological love

「確かに………この前も社長賞貰ってたしなぁ。」


「あぁ…………あれ部下がミスしたところを相当粘って契約取ったってやつ?」


「マジ格好いいよなぁ………本当に男いないのかな?」


「噂は色々聞くけど…最近のは何だっけ?」


「社長の愛人ってやつ?」


「バーカ、古ぃーよ!今はビアンって噂だろ?」


「ウソッ?!今、そんななってたの?確かにあの色気で男がいないってのは変だもんなぁ~~。てかビアンって、それはそれで興奮しね?」


(全部聞こえてるっつーの!愛人?レズ?勝手なこと言ってるわ。私は誰にも囲われた事なんて無いし………。)


ロッカールームで予備のスーツに着替え、髪をグッとアップにしてヘアクリップで留めた。

ロッカーの扉に付いている小さい鏡を見て、後れ毛をヘアピンで留めていく。

髪がセット出来ない日は纏めるに限る。

見た目のいいヘアクリップを着けてれば、清潔感は出るし手を掛けてる様に見える。


(あ~…取り合えず鍵屋さんに電話しなきゃなぁ…面倒臭い。呼んだ所で直ぐやってくれるのかな?)


早速、鍵屋に電話してみると、直ぐに留守電に切り替わった。


(まだ、始まってないか………後でもう一回掛けてみるか…。)


漸く落ち着いて、デスクに座り今日の打ち合わせの資料の読み返しや社内メールをチェックする。


(小森くんからメール………一件……後はー)


「皆!ちょっと集まってくれー!!」


お昼も差し迫った午前11時、営業一課の赤坂部長の大きな声がフロアに響いた。


(痛っー………、部長声デカ過ぎ…頭に響くんですけど。)


コンタクトの代わりにメガネを掛けていたけど、そのフレームの圧迫でさえ今は煩わしい。


(頭痛が酷すぎて無理………打ち合わせ行くまで外しとこう。)


「今日から新たに我が社に新設した、デザイン部の全てを取り纏めてくれる秋山くんだ。留学経験もあるし、デザイン業界では名も通っている。今回、我が社に出向という形で契約する事になった。秋山くんの個人事務所と行ったり来たりになると思うが、こちらに居る時はどんどんコミュニケーションを取って、より良い仕事に繋げる様に!!」


「はい!」



< 13 / 299 >

この作品をシェア

pagetop