Pathological love
数日経って、温室に出掛ける当日。
あの日以来、眠りの浅い私は、この日も早くから目が覚め、早々に身支度をして約束の時間まで窓辺でボーッと外を眺めていた。
「…………もう、冬ね………。外は寒そう。」
玄関の扉をゆっくりと押し開けると、一筋の光が私の顔に線を作った。
「んん……眩し…………。」
久し振りの太陽の日差しは、篭りっきりだった私の神経には刺激的に感じられる。
「令子ちゃん……大丈夫?」
「あっはい。」
少し目の前がクラクラするけれど、私はゆっくりと歩み出した。
母が大好きだった温室、確か前に面会した時通されたカフェがある所だったと記憶に新しい。
あの時母は、全然私の言葉に取り合ってくれず、結局平行線のまま話は終わってしまった。
温室の中を楽しむ事も無いまま、私はホスピスを後にした。
「連理の事も、認めてくれなかったっけ………………。」
あれからあの人はどうしただろう?
顔を思い出そうとすると、私の胸はまた別の痛みを伴った。
第二弾のCMは上手くいったのだろうか?
美鈴さんと婚約も正式にしたのだろうか?
彼は心から笑っていて、幸せなんだろうか?
そんな事を考えると、つんと鼻が痛くなった。
私には関係の無い人なのは分かっている。
こんな私でも、彼の幸せを願う事は許されるだろうか……。
行き着く先の無い問いを、何度も自分の中で反芻しては、空っぽの胸の穴に落としていった。
「令子ちゃん着いたわよ!」
「えっ?」
「寒かったでしょう……フフッ……ほっぺが真っ赤ね?早く中に入りましょ?」
「はい……。」