Pathological love
温室の扉を潜ると、そこはあっとゆう間に暖かい春の空間になっていた。
少し暑いくらいの気温に、私は堪らなくコートを脱いだ。
見た事も無い綺麗な花々が咲き乱れている。
「わぁ…………綺麗…………。」
「でしょ?私もお気に入りなのよ。ほら、この花綺麗でしょ?クレマチスって言うのよ。」
「見た事あります……大きいですね。」
「日本名はテッセンって言ったかしら……目立つでしょ?色は違うけどこれも同じなのよ。」
「へぇー……本当に綺麗。こんな花が冬に咲くんですね?」
「そうね、温室様様ね!……フフッ!」
外邑さんの後を追い掛けて、木々の繁る小道を歩いて行く。
まるで別世界にでも迷い込んだ気分だった。
「もう少し歩けば開けた場所に出るから。」
「前に入った所とは別ですよね?」
「えぇ……入口が幾つもあるからね。……ほら、もう見えるでしょ?あのカフェ。」
遠くの方にやっと建物が見えてきた。
見覚えのある佇まい。
母と会ったカフェだった。
「さぁ、ここに座ってて。」
「はい。」
ぼぅーっと温室の中を眺めていると、紋黄蝶がヒラヒラと花から花へ飛び回っていて、本当に天国にでも来た様な気分になった。
きっとここのホスピスに居る患者さんは、不安や悲しみ、恐怖感をここに来る事によって、少しでも癒しているのだろう。
実際、何だか少し安らいでいる自分もいる。
「不思議な所…………。」