七人だけの世界
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「智花ちゃーん、ちょっと付き合ってぇ」


ざわざわと騒がしい教室。笑い声などが聞こえる。…叫び声みたいなのも聞こえるけどね。


「智花ちゃーん、どうしたのぉ?」


語尾を必ず伸ばしながら、私に声を掛けてくる少女。


彼女は、宇野 梓彩(うの あずさ)


クラスは2-C。勿論、私と同じクラスだ。

私は梓彩ちゃんのこと、好きだよ。けどね?クラスの子は嫌いなんだって。梓彩ちゃんのこと。


そんな情報を知ったのは、私が通っている絵の教室でだ。


そこに通っている同級生の子たちが話していたのを覚えている。


それも、人気者の子たちがね。


“『 』ちゃん、アンタのこと好きだって”



“ハッ!?俺のことを?マジかよ。…キモッ”


“うわ~、酷っ。『 』ちゃん、可哀想~”


“とか言いつつ、アンタ顔ニヤけてるからね”


“え~、そうみえる?”



怖いね、ホント。女子って恐いな~とは、前から思ってたよ?私もそこまで疎くないと思うし。


ただ…、男子も悪口言うとは思ってなかった。信用できないね、いつか話題にされそうだし。



「智花ちゃん…?」


心配そうな表情をする梓彩。


こんな私だけど、人気者だと思う。…上辺だけなんだけどね。


この前、ネットでAB型について検索したら

“ AB型のあなたは、友人関係は広く浅くでしょう。”


納得。私、友人関係は広いと思うけど、なんか上辺だけだし。


そういう所、冷めてるってママに言われた。…ちょっぴり悲しかった。


「…んぁ、ごめん、梓彩ちゃん。ボーッとしてた。…んで、どうした?」


「あのねぇ、梓彩ね、図書室で借りてる本の期限が今日までなのぉ。だから、一緒に来てくれない?」


あぁ、めんどくさい。まあ、何でもかんでも1人じゃ嫌なのが梓彩ちゃんなんだけど。


「うん、いいよ。…けど、休み時間10分しかないよ?間に合うかな」


今は1限目と2時限目の間の休み時間。この休み時間は10分しかない。…短過ぎだよね、ホント。


「大丈夫、大丈夫!ほらっ、早く行こうぅ?」


「ん」

梓彩ちゃんに腕を引っ張られながら、教室をあとにする。

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