七人だけの世界
廊下に出れば、男子が走りながらじゃれ合っていた。


廊下は走ってはいけません、なんてよく言うけど、そう言って注意する人も走ってるんだよね。…矛盾してる。


「あ、智花ちゃんはこの話知ってるぅ?」


梓彩ちゃんが上目遣いで聞いてくる。私は身長163cm。中学2年生では少しデカイのかな。それに対し、梓彩ちゃんは158cm。必然的に梓彩ちゃんは上目遣いになってしまうのだ。


「ん、何?その話って」


「知りたい?あのね、なんかね、屋上のことなんだけど…」


そう言うと、梓彩ちゃんは小走りで2、3m私から離れてから、私の方に振り向いた。


ふわりとスカートが舞う。…セーラー服ってやっぱ良いよね。






「あの屋上って、飛び降り自殺した子がいるらしいよ」





そんな馬鹿な…、もしそんな事があったなら、その当時ニュースで報道されてもいい筈だし。


「またそんな嘘言って…」


そう、否定しようとしたのだ。したのだが、梓彩ちゃんの顔を見たら、本当のことのように思えて。


だって、いつもニコニコ笑ってる梓彩ちゃんが、真面目な顔…いや、無表情で言ってきたんだよ?ビビったよ。


「だって…。…本当だよ?梓彩聞いちゃったもん」


「でも…」


信じたくない。だって怖いもん。


「智花ちゃん…、信じてくれないの?」


眉を八の字にして、私と目を合わせる梓彩ちゃん。


「いや、でも…」


「いいもん、いいもん。心ちゃん達に言うから」


むぅと口を尖らし、頬を膨らませる梓彩ちゃん。はたから見たらぶりっ子かもしれないけど、これが梓彩ちゃんだから全然そんなこと感じない。


「ほら、早く行こ?」


「あ…うん」


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