今すぐぎゅっと、だきしめて。


ヒロの身体は、一体どこにあるんだろう。

永瀬ヒロと言う人間は、どこでどんな生活をしてきたんだろう。



興味がある。


そう思ってしまうのは不謹慎かもしれない。



でも。

ほんとの永瀬ヒロに会ってみたい。









「明日…ヒロの身体を探しに行こう」


窓辺に座っているヒロを見上げながら言った。
でも、ヒロはあたしの視線から逃れるように、また外を眺めた。



「実はさ……俺も俺なりに色々探してみたんだ。 この近くなんだけど。手がかりを」



そうか。

だから、時々ヒロの姿が見えなかったんだ。



――ドキン



淡い期待が胸をくすぐる。



「…うん。 それで、どうだった?」



身を乗り出したあたしに一瞬だけ視線を合わせ、それは力なく足元に落ちていく。



……ヒロ?



「それが…なにもわからなくてさ。 
おかしいんだぜ? ユイと初めて会った時、不思議と頭の中に流れ込む記憶があったんだ。それをさらに辿ってみても、なにも浮かんでこない。 靄がかかったみたいで……さっぱりさ」


肩を竦めてみせたヒロ。



「あの夜、特別な何かをしたのかな」




初めて会った時?






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