今すぐぎゅっと、だきしめて。
「ん……」
いつの間にか寝ちゃってたんだ…。
あたしは眠たい目を擦りながら、少しだけ身体を起こす。
でも、まだ重たくて。
出来ればこのまま、また眠ってしまいたい。
でも、それは出来そうにない。
ベッドに座りながら、あたしは首を捻った。
あたしの視線の先。
四角い窓から見えるのは、夜空いっぱいに輝く星の群れ。
そして満月。
その月光は、光の道となって真っ直ぐあたしの部屋を照らしていた。
いつの間に戻ってきていたのだろう。
ヒロは、窓辺に腰を下ろして、ぼんやりと夜空を眺めていた。
淡い光で、ヒロの横顔がほんの少しだけブルーに染まってる。
「……」
それが純粋に、綺麗だと思ってしまう。
男の子なのに…あたしより年上なはずなのに……。
永瀬ヒロは、どこか大人びた雰囲気があった。
「どこ行ってたの?」
ヒロはあたしの声に、我に返ったようにハッとして顔を上げた。
「…起こしちゃった?」
「うんん」
ヒロはそう言うと、少しだけ口元を緩めた。
その笑顔が、すごく儚くて。
まるで、月光に溶かされてしまいそうだった……