強引上司と過保護な社内恋愛!?
「わ、私も海外にもっと目を向けるべきかと」

一先ず桧山さんの尻馬に乗ってみる。

「なぜ?」

ニコラスはライトブルーの瞳で私をジッと見つめる。

「何故って?東京の街をご覧になったでしょう。もうビルを建てる土地はありません」

肩を竦めアメリカンジョーク的なノリで乗り切ろうとする。

ニコラスは一瞬きょとんとした表情を浮かべる。

はい、すべったー。

撃沈を覚悟した次の瞬間、ニコラスが手を打って大爆笑した。

どうやら彼のツボにはハマったらしい。

私はホッと胸を撫でおろす。

「emerging markets(新興国市場)に進出すればリスクもありますが、空港や橋、道路などの大きなインフラ案件を受注するチャンスが広がります」

桧山さんは英語を織り交ぜつつ、ルー語のように説明していく。

逆に解りづらいと思うけど、大使とニコラスは尤もらしい表情で頷きながら聞いているので伝わっているのだろう。

私もニコニコしながら大人しく耳を傾けているものの、日頃からあまり笑う事がないので顔の筋肉が攣りそうだ。

空いたお皿を下げたり、取り皿を変えたり気を配ることにより、意識を分散させるよう心掛けた。
< 105 / 360 >

この作品をシェア

pagetop