強引上司と過保護な社内恋愛!?
電車で帰る、というのに桧山さんは送ると言って聞かなかった。

無理矢理私をタクシーに押し込めると、自分も続いて乗り込む。

「春日町まで」

桧山さんが私の代わりに運転手さんに行き先を告げる。

「英語なんて必要なかったじゃないですか。滅茶苦茶予習したのに。っつーか桧山さん英語ペラッペラじゃないすか。デーブスペクター並みじゃないすか。帰国子女なら最初から言って欲しいっす」

酔っ払った私は桧山さんにクダを巻く。

緊張を和らげようとして、少々飲み過ぎたようだ。

「デーブスペクターは外人だろー。いずみん」

酔っ払いのあしらい方はお手の物なのか桧山さんは、緩く流す。

「そもそも接待に連れて行くのであれば、同じ班の小日向さんか伊藤さんを連れて行くべきです。接待は私が会社から求められる役割期待からかけ離れたものであり…」

「良くわかったよ、いずみん。今日は頑張ってくれたね」

桧山さんは子どもにそうするように私の頭をヨシヨシと撫でる。

「そんな事では誤魔化されません!」

「…絡み酒か」

桧山さんはボソッと呟く。

「何ですって?!」

私が聞き返すと、桧山さんは撫でていた手で自分の肩に私の頭を引き寄せた。
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