強引上司と過保護な社内恋愛!?
「いずみん、お疲れのようだから少し寝たらいいよ。春日町駅に着いたら起こしてあげるからね」

桧山さんはさりげなーく私の肩に手を回す。

「厄介払いしようって魂胆ですか。みえみえです…」

「黙らないと口塞ぐよ?俺の口で」

私は即座に口を噤んだ。

その様子を見て、桧山さんはクスリと微笑む。

致し方なく桧山さんの肩に頭を預けると、フルーティーなコロンがふんわり香る。

思いの外にガッシリした肩

私を包む硬い腕

肩に置かれた大きな手

嫌が応にも桧山さんと密着しているのを意識させられて、妙に身体が火照る。

落ち着け。落ち着け、私。

若い娘ならまだしも、30にもなって肩を組まれただけで、こんなに動揺しているのがバレたら流石にわくわく動物園の桧山さんだってドン引きだ。

ラブラブカポーのようなこの状態は、あくまで騒ぎ立てる私を押さえつけているだけの事。

犬をつなぐリードと同じ。深い意味はない。

しかし、考えれば考えるほど動悸が激しくなり再び目の前がクラクラしてくる。

心なしか呼吸まで苦しくなって来た。
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