強引上司と過保護な社内恋愛!?
定時を告げるチャイムが鳴ると、箱に入ったお土産を配って歩く。

「誰のお土産?」

オコゼの佐々木さんが尋ねる。

「桧山さんが大阪出張に行ったお土産です」

佐々木さんは「桧山かあ」と言ってニヤっと含みのある笑みを浮かべる。

「俺達も貰っちゃっていいのかなあ。泉ちゃんに買って来たんじゃないの?」

はい、でた。セクハラ。

75日過ぎても噂の効力が衰えていない。

「営業本部の人数分ありますから」

やんわり笑顔で交わす。

「田母神、人数分ありそう?」

バッドタイミングで、桧山さんが声をかけて来た。

「おお!桧山さぁん!彼女に買ってきたお土産なのに俺達も頂いちゃっていいんですかー?!」

佐々木さんがワザと敬語で冷やかすと、周囲のおっさん達が一斉にぎゃっぎゃと笑う。

何だかグレムリンを彷彿させた。

「なあに、幸せのお裾分けですよ」

桧山さんは私の肩にそっと手を置き、更に周囲を喜ばせる。

お調子者の言動に腹が立つ。

これでまた噂の効力が延びてしまうではないか。

「セクハラです。辞めてください」

私は冷静に抗議して、肩の手を払う。

「あれか!今話題のツンドラか!」

佐々木さんがドヤ顔で言う。

なんだ、それ。寒帯気候か。

「佐々木さん、其れを言うならツンデレでしょ」

桧山さんが笑顔でやんわり訂正すると、グレムリン達は再びギャピギャピはしゃぎ出す。

何だかどっと疲れてしまった。
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