強引上司と過保護な社内恋愛!?
「田母神?」

桧山さんに声を掛けられて我にかえった。

そういえば、ここは会社だ。

「じゃ、行きますか。レセプション」

私は誤魔化すように明るく言う。

「そうだ」と言って、桧山さんはハッとしたように大きく目を見開いた。

それから鞄をゴソゴソ探る。

「はい、これ」

茶色いリボンが掛かったオレンジ色の薄い箱を差し出されたので反射的に受け取った。

「何ですか?これ」

「いいから開けてみて!早く!ほら!」

急かされるので訳の解らぬまま茶色いリボンを解いて行く。

蓋を開けると中にスカーフが入っていた。

淡いピンクカラーにゴージャスなジュエリーが描かれた華やかなデザインだ。

桧山さんは箱からスカーフをスルリと抜き取って、私の首にふんわり掛ける。

「うん、やっぱりすごく似合う」

確かにモノトーンのコーディネートにスカーフはよく映えて、ぐっとお洒落な印象になる。

桧山さんは満足気にニッコリ微笑む。

「え…と、コレは一体」

慌ててスカーフを首から取ろうとすると手を握ってと制される。

「あげる。プレゼント」

「プレゼントって言われても、困ります」

オレンジ色の箱には某有名ブランドのロゴが刻まれているし、滑らかな肌触りからすると素材も恐らくシルクだろう。

ちょっとしたお土産に、という品じゃない事は直ぐにわかる。
< 143 / 360 >

この作品をシェア

pagetop