強引上司と過保護な社内恋愛!?
「だって、泉の汚い部屋じゃ何かする気も失せるっしょ」

桧山さんはニコニコしながら失礼な事を言ってのける。

「じゃ、決まりな」

花のような笑みを向けられたら拒むことなんて出来ない。

「泉、食べさせて」

桧山さんはテーブルに並んだ料理に視線を向ける。

「自分で食べてくださいよ」

「手が塞がってるから無理」

桧山さんは右手で私の左手をギュッと握る。

私は、もう何それー、なんつって嫌々風な態度を取ってみせる。

「どれがいいですか?」

しかし、案外乗り気だ。

「じゃあ、サーモンのやつ」

桧山さんに言われてサーモントラウトのマリネをフォークですくい、口元まで持って行く。

「ん、美味しい」

一口食べると桧山さんは満足そうにニッコリ笑顔を浮かべる。

ああ…もうレセプションとかどうでもいいや。とっとと桧山さんの自宅に帰りたい。

「次は、チキンのヤツ」

はいはい、と言ってチキンローストをフォークに載せて桧山さんの口へと運ぶ。

あーん、と桧山さんが口を開けたその時だった。
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