強引上司と過保護な社内恋愛!?
「あの」

パソコンに向かう桧山さんに声をかける。

「支払い依頼書を作成したので検印ください」

「さんきゅー。そこ置いておいて。後で持ってく」

そうだ、と言って、此方へ振り向いたので、思わずドキっとする。

「お礼を兼ねて立岩地所のメンバーと大使館関係者には俺からメールしとくわ。その後でいいからさ、社内ミーティングの日程を調整してもらっていい?アジェンダとメンツは後でメールする」

「解りました」

よろしくーと言って、桧山さんは再びパソコンの画面に向き直した。

まるで取り付く島のないビジネスライクな態度。

昨日はすいませんでしたぁ!桧山さんのお父さんって滅茶苦茶おっかないっすね!

…なんて気楽に声をかけられない。

失礼な態度をとったことを、ちゃんと謝りたい。

だけど、そのタイミングは今ではないようだ。

機を見て出直そう。

私は後ろ髪引かれる想いで自分の席へと戻る。


しかしそのチャンスはなかなか訪れることはなく、時間だけが過ぎて行った。
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