強引上司と過保護な社内恋愛!?
「これ」

デスクに戻ると桧山さんが1枚の名刺を差し出して来た。

表には桧山暁(ひやま あつき)と書かれている。

「表の携帯番号は会社携帯で裏はプライベートの携帯。なんかあったら繋がる方に掛けて」

裏をひっくり返すと思いの他綺麗な文字で携帯番号が書かれていた。

「別にプライベート携帯には仕事以外の用件で掛けてもらっても構わないよ?」

桧山さんはデスクに肘を付き二コリと天使みたいな可愛らしい笑みを浮かべて私の顔を覗きこむ。

「それは無いと思うので大丈夫です」

が、しかし即座に遠慮させていただく。

「気が変わったらいつでもウェルカムだからさ!」と言って桧山さんはカラっと笑い飛ばした。

私は無表情のまま沈黙する。

こうゆう軽薄なノリは正直嫌いだ。

息苦しいほどの白けた空気が二人の間に流れる。

「それと田母神さん、来週の木曜日って予定ある?」

あ!と声を上げて、桧山さんはワザとらしくもハッとした表情を作る。

「もしかしてデートの予定とか入っちゃてるかな?!」

「…ありませんが」

「だと思った!」失礼な事をサラリと言ってのける。

「着任者の歓迎会だから予定空けておいてよ」

「お気使いいただいてありがとうございます」

私がペコリと頭を下げると桧山さんは「おう!」と言って無邪気に笑った。
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