強引上司と過保護な社内恋愛!?
「やっぱり、高級物件で和牛を頂くとちょっとリッチな気分になりますね」

私は続けざまステーキを頬張る。

「牛肉=高級っていう発想は安直なんじゃないのかよ」

塩むすびを齧りながら、桧山さんは怨み言をいっているが聞こえないフリをする。

「一口食べますか?」

フォークに刺さったお肉を口元まで持って行くが、桧山さんは嫌そうに眉を潜める。

「胃が受け付けない」

「おいしーのにー」

悔しがる桧山さんを傍目に食べる牛肉の味はまた格別だった。

◆◇◆

「じゃあ、そろそろ帰りますね」

夕飯の後片付けを終えて、リビングのソファーでテレビを見ながら寛いでいる桧山さんに声をかける。

「泊まってけば?今日は遅いし」

あまりに自然に言うもんだから「うーん、どうしよう。外寒いしね」なんて、つい自然に答えそうになり、途中でハッと我に帰る。

「イヤ、帰りますよ。ふつーに」

ええーと言って、桧山さんは不満気だ。

「明日は休みなんだからいいじゃん」

「そういう問題じゃありません」

会社の上席と言えど、交際していない独身男性の家に泊まるなんてあるまじき行為だ。

…まあ、押しかける時点でどうなんだっつーところではあるけど。
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