強引上司と過保護な社内恋愛!?
「ちょっと黙ってよ!」

私は小声で詰め寄る。

「本当に男と会うの?」

桧山さんはしつこく食い下がる。

「関係ないでしょ」

私は一瞥すると、再び出口に向かってツカツカ歩き出す。

外へ出ると、風が吹き付け髪がバサバサに乱れる。

私はぐっと唇を結んで駅へと向かう。

「うちに乗り込んで来たと思ったらとっとと他の男に会いに行くとは随分薄情な女だな」

桧山さんの辛辣な言葉に顔がカッと熱くなる。

「桧山さんには言われたくありません!」

思わず声を張ると桧山さんは驚いたように目を見開く。

「気まぐれでからかうのはもう止めてください。年増でお堅い私が桧山さんに振り回されて迷走しているのを見て楽しいですか?愉快ですか?」

「お前さ、それ本気で言ってる?」

微かに眉根を顰めて、傷ついたような顔をする。

いつもみたいにヘラヘラ笑って「酷いなー」なんて軽く流すかと思ったのに。

「もう、構わないでください。誰と何をしようが桧山さんにとやかく言われる筋合いなんてないと思います」

どうせ自分はインドネシアへ行ってしまうくせに。

桧山さんが手を握る力を緩めたのを見計らって、振り払う。
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