強引上司と過保護な社内恋愛!?
「へえ、おいていかれちゃうんだ。泉さん」

かわいそー、と気安く言って、佑樹くんはタパスを3種盛り合わせたプレートをカウンターの上にだす。

その中からトルティージャをナイフで切り分けて一口いただく。

佑樹くんは腹黒いけど、作る料理はやっぱり美味しい。

「可哀想もなにもない。だって私と桧山さんは交際してないもん」

「交際って昭和な響きだねー!レトロで新鮮!」

平成生まれの佑樹くんは可笑しそうにケラケラ笑う。

「佑樹、ぶりっこキャラ止めたんだな」

私達の会話を傍で聞いていた幼馴染の坂田が遠慮がちに突っ込んでくる。

「うん。泉さんはSだと思ってたから、可愛い感じが受けると思ったけど、実はドMだったからさ。素でいった方が効果的かと思って」

佑樹くんは悪びれなく鬼畜発言をする。

あっそ、と言って坂田は呆れ顔だ。

「泉さん、桧山さんがインドネシアに行っちゃったら、俺と遊ぼうよ。美味しい朝食も作ってあげるよ」

佑樹くんは魅惑的な笑顔で誘惑してくる。

美味しい朝食ってところにも心がぐらりと傾きそうになる。

「今の私にうっかり手を出したら翌日に区役所へ婚姻届を取りに行きかねないわよ」

「うわ!なにそれ!重い!重過ぎる!石抱きの刑だね!」

私の女心は江戸時代の処刑に匹敵するほど重荷らしい。

へへっと自嘲気味に笑い、タパスの中からキャロットラぺをフォークですくって一口食べる。
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