強引上司と過保護な社内恋愛!?
「この間、家まで押し掛けて話そうとしたんだけど…なんか若い男と帰って来た」

五十嵐は同情の笑みを浮かべて、慰めるように俺の肩にポンと手を乗っける。

アレは流石にショックだった。

あの後どうやって家まで帰ったのか正直覚えてない。

「だからもっと早い段階で泉ちゃんに話しておけばよかったんだよ。他人の口から聞いて泉ちゃんはショック受けてたぞ?」

可哀想に、と言って五十嵐は首を横に振る。

そのお小言は耳に痛い。

最近では俺の姿を見かけると、泉はアライグマフェイスになりコソコソと逃げ出す始末。

インドネシアに行く事を泉に話して「桧山さん!お元気で!さようなら」

そんな別れの言葉であっさり切り捨てられたらどうしよう。

チキンな俺はなかなか言い出せなかった。

しかし、今やそんな言い訳すらも聞いてもらえない。

「お前は応募しなかったんだっけ?」

これ以上情けない部分を晒すわけにはいかないので、五十嵐に話を振って誤魔化す。

「今年子どもが産まれるから今回は見送ったんだ」

「女子か?」

「男子だ」

五十嵐は嬉しそうに破顔する。

三年前に大学時代から付き合っていた彼女と結婚し、子供も授かり、着々と人生の駒を進めている。
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