強引上司と過保護な社内恋愛!?
「べベックも案内ありがとう」

リックはお茶目にウィンクする。

どうやら2人は知り合いのようだ。

「では後はリックにお任せねー。タノカミサーン後でまたお迎えきますねー」

もう来なくていい。

と言いたいところだったがスーツケースを置きっぱなしにしていた事を思い出す。

べベックは手を振りながら簡易オフィスから出ていった。

「では、私が建設現場を一通り案内させていただきますね」

え…ちょっと待って…

「わが社の職員は?」

「美嶋建設の職員は下請け会社との間にトラブルがあったようで出払っています」

うそでしょ。

想定外の出来ごとに私はビシりと固まった。

どうしよう。ここまで来て桧山さんに会えなかったら。

説明してもらったところで、現場のことなんて全然わかんないし。

男に遭うために、という不純な動機で、うっかり見学の来てしまったことを痛切に後悔する。

「では行きましょう!タノカメさん!」

しかもまた名前間違えられてるし。

一難去ってまた一難。

とてつもない不安に駆られながら陽気なリックにぐいぐい腕を掴まれて私は簡易オフィスを後にした。
< 302 / 360 >

この作品をシェア

pagetop