強引上司と過保護な社内恋愛!?
私はその後ろ姿を目指して駆けだした。

「桧山さん!」

その名前を呼ぶと、喧嘩をしていたラフな男はこちらに振り向く。

そして、何事もなかったように前へ向き直すと「そもそもヘルメット被れよ!何度も言ってんだろ!」

再び運転手と喧嘩を始める。

…あれ、おかしいな。感動の再会になる予定だったんだけど。

無視されてるのかな。

不安になって、ちょっとだけ駆け寄る足の速度が遅くなる。

「あの!桧山さん!」

直ぐ側までいって桧山さんの肩を手で掴む。

再びこちらへ振り向くと、桧山さんは無表情のまま固まる。

あ!ヘルメット被ってたから私が誰か解らないのかもしれない!

私は慌ててヘルメットを脱いだ。

「あの!田母神です!」

桧山さんは幽霊でも見たようなギョッとした表情を浮かべた。

「ほ…本物?」

「本物です!」

桧山さんはTシャツに作業着のズボンを履いている。

「随分ワイルドな出で立ちですね」

ヘルメットから覗く髪は伸びていて、無精ひげまで生えている。

真っ黒に日焼けして、日本にいた頃の小綺麗な姿とは大違い。

だけど、その時の何倍も魅力的に見えるのは何故だろう。


< 306 / 360 >

この作品をシェア

pagetop