強引上司と過保護な社内恋愛!?
「タモカメさんはヒヤマのステディだったのかよー」

リックがボヤく。

「いえ、ステディではありませんよ」

私はキッパリ否定する。

じゃあ、何で此処にいるんだ?

と、言いたげにリックは眉根を寄せている。

太陽が照りつける建設現場から、一旦簡易オフィスに三人で戻ってきた。

クーラーのきいた涼しい部屋でミネラルウォーターを飲むと生き返った心地がする。

桧山さんは戻るや否や一心不乱にパソコンで作業を始めた。

その傍らにはちょっぴし不細工なアライグマのぬいぐるみが置いてあるのが、なんだか微笑ましい。

「じゃあさ、今晩一緒にディナーでも行こうよ!」

あんな情熱的な再会を目の当たりにしても平気で誘ってくるなんてリックの頭の構造はどうなっているのだろう。

「残念だなリック、泉は俺とディナーの予定が入っているんだよ」

桧山さんがすかさずカットインしてきた。

「会ったばかりなのにいつそんな約束したんだよ」

リックが不満気にブーイングしてくる。

「たった今決まったことだ」

有無を言わさぬ口調で言う。相変わらず強引だ。

「泉、俺はこれから仕事に戻るから、べベックに案内してもらって観光でもしてくれば?ディナーまでには終わらせるから待ち合わせよう」

桧山さんはリックが会話に入って来ないよう日本語で話し掛けてきた。
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