強引上司と過保護な社内恋愛!?
桧山さんの部屋に泊るという選択肢も考えてみたが、聞くところによると、建設現場近くのホテルに滞在しているらしい。

どのみちシングルルームにちがいない。

そうだ…今日は何もせずに帰ろう。

そして明日ベベックにツインルームをとってもらって出直せばいい事。

今までずっとお預けだったんだからそれが1日くらい伸びたところでどうってことない。

「あの!ベベック!」

ホテルの手配を頼もうとして運転席のベベックに声を掛ける。

「タノカメさんお腹すいたか?もうすぐつくよーまっててね」

ベベックは呑気な口調で言う。

「違う!そうじゃなくってね…!」

私はフト車の外に目を向ける。

確か私が宿泊する予定のクタサンディゲストハウスは賑やかな繁華街のど真ん中にあるはず。

しかし、車の外は芝生や手入れの行き届いた庭が広がり、高級リゾートが点在している。

なんだか落ち着いていてハイソな雰囲気だ。

ここは…どこだ?

私が戸惑っているとベベックはポンコツ車にはおよそ似つかわしくない真っ白な外観のデラックスなホテルのゲートに入って行く。

「こんなとこ入って行っちゃって大丈夫なの?」

「何言ってるの―。ヒヤマとホテルで待ち合わせしてるでしょー」

どうやらホテルのディナーを予約してくれているようだ。

桧山さんもなかなか心憎いことをしてくれる。
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