強引上司と過保護な社内恋愛!?
「では、松井課長、スタートの合図を」

桧山さんにご指名されて、松井課長が浮かない顔で上座に出てくる。

「私が飲むから」

すれ違い様にコソリと私に耳打ちした。

「いえ…歓迎会なので頑張ります。無理だったらフォローをお願いします」

松井さんは浮かない顔で頷いた。

やっぱり優しい人だ。

「スタート!」

松井課長のスタートの合図と同時に私はクイっと徳利の日本酒を飲み干した。

うーん、あんまり美味しくない。

こりゃ安い普通酒だな。

私が空になったトックリを頭に乗っけると、会場が野太い歓声で沸き立つ。

何事かと辺りをキョロキョロ見渡すと、競争相手の他4人はまだ飲み終わっていない。

どうやら私が1番のようだ。

2番が桧山さん、3番が五十嵐さん、その後に2人の若手が続く。

「ミスパーフェクト…早っ」

桧山さんは大きな目をまん丸くして私をジッと見つめている。

「口ほどにもないですね、桧山さん」

逆さまにした徳利を頭に載っけたまま、私はフンと鼻を鳴らし勝者の笑みを浮かべる。

これくらい言ってやる権利はある…はず。

なんてったって1番なんだから。
< 33 / 360 >

この作品をシェア

pagetop