強引上司と過保護な社内恋愛!?
「お待たせしました」

声をかけるとタイミングよくエレベーターが到着する。

桧山さんの後に続いて乗り込んだ。

エレベーターには私たちの他に誰も乗っていない。

密室に2人きり、というシュチュエーションが妙に息苦しい。

なんか…と桧山さんがボソリと呟いたので顔を上げる。

「今日はデカイな」

「8cmのヒール履いてるんで、170cm以上あります」

そういえば背の高い桧山さんの顔がいつもよりも近くにある。

「キスするのに丁度良さそう」

なんの気無しに言った一言で、まんまと事故のようなキスを思い出してしまう。

馬鹿!変な事考えるな!

自分に言い聞かせれば言い聞かせるほど、柔らかな唇の感触まで鮮明に蘇りみるみるうちに耳まで赤くなる。

一人パニックに陥る私を見て桧山さんは頭の中を見透かしたようにニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「なに考えてんだよ。やーらしー」

更に赤くなる私を見てクスクス笑いながら肩で私を小突いた。

「柔らかいよね。いずみんの唇って」

桧山さんの整った顔が目前に迫る。

ガムを噛んでいるのか仄かにミントが香る。
< 97 / 360 >

この作品をシェア

pagetop