強引上司と過保護な社内恋愛!?
「か…からかわないで」

否が応にも口角の上がり、程よい厚みのある唇に視線が向いてしまう。

美味しいそう、なんて思う私は欲求不満なのかもしれない。

「今日の接待が上手くいったら、またキスしていい?」

桧山さんはくるりとした目で私の顔を覗き込む。

どうぞどうぞ!いくらでも!

…と、思わず言いってしまいたくなる。

だけどきっとこれは桧山さんなりのジョークに違いない。

シャイな年増をからかうオヤジギャグだ。

本気にしたら恥をかくに違いない。

「そ、そんなん桧山さんにとっては罰ゲームじゃないですか」

私は辛うじて平静を装い顔を横に背ける。

「ほんっと面倒くせぇな」

桧山さんが不服そうに目を細め、私の腕を掴む。

「大体田母神はさ…」

何かを言いかけるがタイミングを図ったかのように、エレベーターが一階に到着する。

た、助かった…。

扉が開くと私はそそくさとエレベーターから降りる。

「逃げたな」

小声で桧山さんが呟いたけど私は聞こえないふりをした。
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