天気職人
「くっそ、あのばばあ....違うつってんのに」
雅美はバツが悪そうに帰り道を歩いていた。
しかし不思議だ。家を出る前は日はまだ高かったのに店を出てみると辺りは薄暗くて空には星が少し見えかかっていた。
いつもそうだ。あの店に居ると時間が早く進む。
もしかするとあの店には何らかの魔法がかけられているのかもしれない。
なんて想像をしながら雅美はいつのまにか着いていた家の階段を上った。
家に入り今日買った天気の原液を棚に置き散らかった部屋を少し片付けた。
「そう言えば、あの女なんであんな時間に外に出ていたんだ?」
確かに昨日雅美が天気を作って空に放ったのは街の灯りが消え、皆が寝静まった頃だったはず。
そんな遅くに、ましてや女一人で出掛けるだろうか?
「....うーん、わかんね」
少し考え込んだ雅美だったがすぐに考えるのを諦めて片付けに戻った。
あれだけ散らかっていた部屋もだいぶ片付き、ふと時計を見ると昨日約束した時刻になろうとしていた。
「そろそろ来る頃か....」