ここから
コンッコンッ
しんあ「失礼いたします。」

常連客の美波さんだ。

個室指名は、1ヶ月に10回以上通っていただいたお客様のみに渡されるカードがある。
それを持っているお客様だけが利用できる。

美波「レイ!久しぶり。」


しんあ「お久しぶりです。美波お嬢様。」


美波「覚えていてくれたの?」


しんあ「もちろんでございます。早速ですが、ご注文は何になさいますか?」


美波「そうね。……レイのオススメで!」


しんあ「承知致しました。」


美波さんは、最近お忙しいので……

プルルルッ
しんあ「カモミールティーを1つお願いします。」

そうして、すぐにカモミールティーが運ばれてきた。

美波「カモミールティー?」


しんあ「はい。美波お嬢様、お疲れのようですので、疲れを癒してくれるお茶でございます。」

美波「さすがね。」


しんあ「もったいないお言葉。」


美波「そういえばさ、レイって男なの?」

しんあ「へっ!?どっどうしてそのような事を仰るのでしょうか?」


急すぎる質問に思わず声が高くなった。


美波「時雨って子がレイと同じ学校で、レイは学年首席。スポーツ万能。学校で超有名な男の子って言ってたよ?」


しんあ「おっ俺の学校は、制服が選択出来るんです。それで、俺がズボンとネクタイ選んでるから、男だと勘違いしてるんではないでしょうか。」


美波「そっか、レイはいつも男の子やってるのね。」

危ない危ない
後でなんとか言っとかないと……。


しんあ「あっ、そろそろお時間ですので失礼いたします。」

美波「うん。レイ。また来るわね。」


美波さんをお見送りして、他の個室に入ろうとした時、スタッフ携帯に連絡が入った。

店長【 レイ。ホールの人手が足りないの。ちょっと入ってもらっていいかしら。】


しんあ【 分かりました。今、向かいます。】


うちみたいな、小さなカフェではよくある事だ。


しかし、ホールには榊原先輩がいる。


足が重いが、仕方なくホールにむかった。
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