without you
33 (久遠純世視点)
「あ!そーだ純世!」
「なんだ」
「おまえ、新しい彼女できたんだろ?」
「それがどーした」
「ここに呼べよ」
「今頃言うか」
「だってさー、せっかく偶然がこんな感じで重なってー、木戸さんと一緒なわけなんだよ?おまえも彼女連れてくれば、上手い感じにダブルデートな組み合わせになるだろ?ほら、今からでも遅くない!彼女呼べ!4人で乾杯しよーぜっ!」
「そりゃ無理だ」
「なんで」
「彼女は今日、福岡滞在(ステイ)。明日のバレンタインデーは二人で過ごす予定だ。午後からになるが」
「あぁ!?マジか。せっかくおまえの新しい彼女にも会いたかったのになぁ」
「わりーな。てか隆三。“新しい”彼女ってなんだよ」
「言葉どーりだが?最近のおまえは、俺と会うたび違う彼女連れてるからな」
「そうですね。社長の場合、長くて3ヶ月ですから」
「おい木戸っ!俺が病気みたいな言い方すんな!しかもまた表情変えずにシレーッと言う。俺はな、基本的に惚れっぽい男なんだ。ガールフレンドだって高望みはしてねえ・・し?」
「なんで最後疑問形?」とツッコむ隆三に、俺は「まあ聞けって」と言うと、喉を潤すために、水割りをグイッと一口飲んだ。

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