without you
・・・「A-spade」を辞めないといけない時は、いつか必ず来る。
だから、その限られた間に、少しでも逃亡資金を稼いでおこう。
最初のうちは、そんな気持ちを最優先させながら、仕事をしていた。

でも、1年、2年と経つうちに、仕事そのものが好きになって。
社長の信頼を得たいと思うようになって。
社長をいい意味で、もっと驚かせたいと思うようになって。
いつの間にか私は、久遠社長のことを、社長として、上司として尊敬し、好意を抱くだけにとどまらず、一人の男性として意識していた。
「好き」という気持ち以上に、愛してしまっていた。

でも、もう終わりだ。
社長との何気ないやり取りや、一緒にしてきた数々の仕事も。
全部終わり。

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