without you
「・・・みつかった。あいつに。見つかって、しまった・・・。社長のことも・・・ごめんなさい。ご、ごめんなさい。わたしが、もっと早く逃げてたら、こんなことには・・・。もうここにはいられない。社長・・」

あなたも逃げて。
と言いそうになった口を、私は咄嗟につぐんだ。

・・・そんなことを言ったところで、社長は一体、どこに逃げればいいのよ・・・。

今頃気づいた現実に打ちのめさた私は、呆然とその場に立ちつくした。
社長のワイシャツを握っていた右手から力が抜けて、スッと下に落ちる。
それと同時に、久遠社長は、私から離れると、車に乗った。

今度こそ、これでサヨナラだ。
と、思っていたのに・・・。

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