without you
「何か」
「あ?いや・・・・・ないな、と」
「何が」
「いやだからー。アレだよっ。ヘッジホッグ!ハリネズミ!」
「え?ああ。彼女ならそこに」と私は言いながら、純世さんが持っている、私のボストンバッグを指さした。

「ずっと入ってます」
「・・・緊急グッズの中にハリネズミが入ってんのか」
「ぬいぐるみです」
「どっちでもいいが。“彼女”か。ふーん」
「純世さんは、オスかメスか分からないって言ったでしょ?だから勝手に“彼女”にしました。だから妬かないでください」
「なにぃ!?俺は妬いてなんかねえよ。相手はぬいぐるみだぞ?妬く必要なんかねえ!」
「そうですね」

< 587 / 636 >

この作品をシェア

pagetop