without you
そんな彼と私って、属する世界、住む世界が違うのが明らかだと、彼以外の自他、ともに認めている。
組み合わせだって相当・・・周りには“異色”だと映っているだろう。
例えて言うなら、レバーパテとチョコレート、とか・・・。

想像しただけでも合わない。

とにかく。
彼がメインのおかずなら、さしずめ私はバランだ。
草型をした緑色の、薄っぺらい仕切り。
その中で、静かに彩を添えてはいるものの、あってもなくてもいい控えめな存在・・・。
なのに、彼と私が恋人同士になって・・しまったのは、「A-spade」を通して知り合ったという偶然と、彼は社長、私は彼の秘書として一緒に仕事をしている5年数ヶ月の間に、お互いの人柄を徐々に知っていって。
喜怒哀楽の基準といった価値観が合っていると分かって。

その結果、化学反応が起こってしまったから・・・?

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