without you
純世さんは、誰かにつきまとわれた経験はない。
でも、その心理的な怖さが後を引くことは、想定済だったのだろう。
「余計な心配かけたくなかった」から、それまで私には黙っていたけれど、あいつとのことが解決してからもずっと、私が住むマンション周辺や、私の警護を、チーム寺井のメンバーに頼んでいると、そのとき私に教えてくれた。
「おまえには全てさらけ出せと言った手前、俺も正直にならなきゃフェアじゃねえ」と前置きして。

「俺の意見にテラさんも賛成した。だから引き続きおまえを警護することに決めたんだ。金のことは心配するな。俺が頼んだ事だ。俺が払う。それに、いくら屈強とおまえに思われてる戦士な俺でも、一人でおまえをずっと護ることには限度がある。テラさんたちに任せていれば、俺が海外へ行ってる時も安心だ。それに、おまえがこっちに越してくれば、彼らの警護も少しは楽になる。だからさ、あみか」
「・・・はい」
「愛してる。いい加減一緒に暮らそうぜ。俺んちにこいよ」

・・・もう。
次々と正論を並べてきて、私を納得の渦に巻き込むんだから。
それに。
純世さんは、私の心理を完全に把握している。
断りようがないじゃない。

私たちは、合意のキスと、それから・・・流れとお互いの意志で、最後まで事に及んで。
それは今までにないくらい、熱い「ラブ・メイキング」になった。

翌朝。
私は純世さんと一緒に、自分の荷物を取りに行って。
以来、私たちの同棲生活が始まった。

彼曰く「やっと」。

< 614 / 636 >

この作品をシェア

pagetop