魂‐soul‐
八時。空はとっぷり暮れている。

沙希には、武流たちと約束があると言って出てきた。

内容までは話さなかった。

ニュースを見たばかりなので沙希に対して罪悪感が残る。

自分でも不思議だった。

本来なら父親が行方不明になった場所など行きたくないのだろうが、どうしても見てみたかったのだ。

必要だと思う物を鞄に詰め込んだ。準備万端。

待ち合わせ場所に着いた湊は二人が来るのを待った。

都会とは思えないほどの静けさが、湊の恐怖心を駆り立てる。

切れかけの外灯は、ほぼその役割を果たしていない。

武流は時間にルーズで、十分遅れはザラだ。

逆に朔馬はそういう面には神経質で、相手の遅刻も自分の遅刻も許さない。

今日もてっきり先に来ているものだと思った。

まだ来ないということは、武流と道端で遭遇して、武流のペースに乗せられていると言ったところだろう。

予想通り十分後、ジャージに身を包んだ武流が現れた。

その隣には朔馬もいる。
 
「湊!遅れてごめん」
 
開口一番に謝った朔馬。

武流はへらへら笑っている。
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