魂‐soul‐
緊迫した空気の中でおどけた口調の武流が言った。
 
「何言ってんねん」
 
鼻で笑った朔馬に、まるで教師に悪戯を仕掛けるときのように八重歯を見せて笑った。
 
「どうせ考えてもわかんねぇじゃん。俺から鬼な。十数えるから逃げろよ」
 
いーち、と指折り数えていく武流。

湊と朔馬は呆然とそれを見つめていたが、雅は一人立ち上がった。
 
「早く逃げた方がいいよ」
 
それだけ言うと雅は武流とできるだけ距離をとった。
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