魂‐soul‐
そして、自分もいつか見たこともないやつの身体で生活する。

そいつの過ごしてきた人生を引き継がなければならない。

逆に自分の残りの人生を、誰かが過ごしていく。

自分ではない、誰かが。

そんなの嫌だ。

高校からつるむようになった武流と朔馬。

餓鬼みたいな悪戯して、見事に引っかかる教師やクラスメートを見て笑い転げた。

小さすぎて記憶は曖昧だけど、唯一覚えている大きな腕で自分を抱き上げてくれた父親。

そして、今まで育ててくれた母親。

熱を出した日は、寝ないで看病にあたってくれた。

幼かった自分の育児を放り出さず、ここまで育ててくれた。

自分を寝かしつけた後、生活費のために水商売をやってくれていたことを知っていた。

だから私立の学園にも入学できた。

全ては母親のおかげ。
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