魂‐soul‐
ここで負けたら最大の親不孝だ。

やっと湊は雑念を振り払った。

だが開始そうそう手詰まってしまったことに変わりはない。

刻々と時間だけが過ぎて行く。

時計を見ると残り四十分。

『苦戦しているみたいだね~』 

「秋人!」

『他のみんななんて、辺りを探りまくったり思い当たる数字入れてみたりしてるのに。
まぁ、そのせいで朔馬って子は随分追い詰められてるけど』
 
「朔馬がどうかしたんか!」
 
『間違える度にタイルに仕掛けた爆弾が起動することになっているんだよね。もう二つ起爆したみたいだけど』
 
朔馬の負傷した姿が脳裏に浮かんだ。

血に塗れ痛みに苦しんでいる朔馬が湊の頭を支配する。

友を助けにいけない不甲斐なさに加え自分の無力さが惨めだった。

視界がぼやけるのをシャツの袖で隠した。

力なく座り込むと秋人が声を上げた。
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