お嬢様の秘密III
病室の前にいた関係者の方は主にお母様の部下の方だった。


秋本に関係者はいないから必然的に山岸の関係者になるからおかしくはないんだけど。


でも30人くらいいない?


「あなたが優莉様ですね?山岸警視にはいつもお世話になっております。」


私に気づいたある1人の物腰が柔らかそうな中年の男性がにこやかに話しかけてきた。


あれ?私のことって知られていないんじゃなかったの?


「………どうして私を優莉だと思ったのかしら?」


お母様は……試してる?


少し棘の入った口調で話してしまったけど、男性は驚く様子もなかった。


「私は渚の夫で妻経由でお名前をお聞きしたことがございます。警視に目元が似ていらっしゃいますしね。」


目元が似てるって本当かな?


今度辰彦お祖父様に聞いてみよう。


「そうでございますか。で、お母様には会ったのですか?」


「はい、挨拶は済ませました。」


「では、速やかにお帰りいただけませんか?大所帯で少々うるさいですわ。

来てくださるのは嬉しいのですけど、その人数では困りますわね。お母様の立場は………お分かりですわね?」


笑顔でニコッと微笑み返したつもりだけど、私の言葉を聞いた部下の皆さんは一斉に顔を青くした。


「「し、失礼いたしました!!」」


一斉にピシッと敬礼をして足早に去って行った。


………なんで?





「さすがお嬢様ですね。さあ奥様にご挨拶に行きましょう。」


私は内心首を傾げながらも竜也さんのエスコートでお母様の病室に入った。


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